少しずつ日は長くなってきましたが、まだまだ寒すぎる今日この頃 いかがお過ごしでしょうか?

せっかく寒くてネクタイシーズンなので、今回はネクタイありきのシャツにフォーカスして、
ピンホールカラーとタブカラーの違いについて考えてみようと思います。

まず共通点は、シャツの襟を左右から内側に引き寄せ、ネクタイの結び目を物理的に持ち上げるための仕組みを持っているというところです。
これは、いわゆる折り襟のシャツが定着した19世紀後半~20世紀初め頃、現代のような厚みのあるネクタイの芯地はまだ存在せず ネクタイの結び目がペッタンコになりやすかったために考えられた仕組みです。

仕組みの違いは、立体的なネクタイの結び目を襟にカラーピンを通して引き寄せて作るか、タブ(つまみ紐)をボタンで留めて引き寄せて作るかという点のみ。
考案された順番は、ピンホールカラー → タブカラーです。
そもそも当時 英国ジェントルマンが着ていたシャツの襟は、硬く糊付けしたカッチカチのやつですから、そりゃあ金属のピンぐらいでなければ構造的に無理がありますよね。

硬かろうが痛かろうが、襟元が整っていれば それは自己規律と洗練の象徴であるという、まさに英国的な考え方に基づいたピンホールカラー発祥の理由です。
この時点では、様式美としてのピンホールカラーだったのかと思います。
その後、金製・銀製・宝石付きのカラーピンの登場で、様式美に加えて装飾美も兼ね備えたピンホールカラーとなっていきました。
20世紀初頭、ようやくアメリカ東海岸にピンホールカラーが伝わります。
装飾品のついたシャツが、世界恐慌前の『華麗なるギャツビー』的なド派手なアッパークラスアメリカン達に流行するのは必然だったかもしれません。

ただしそこはアメリカ人、すぐにこんな事を言い出します。
「なんか、カラーピンって無くしやすいし、ちょい面倒じゃね?」
それで、誕生したのが金属のピンを布とボタンに置き換えたタブカラーです。
襟自体もソフトなものに変わっています。
なんだ素材が変わっただけか・・・いいえ、違います。
この時点で、様式美と装飾美は消滅し、機能美が増しています。
それが功を奏し、既製服の普及という時代背景も手伝って、タブカラーは量産・実務に最適な襟型としてホワイトカラー層に支持されました。

狙う効果(ネクタイの結び目を立体的に見せる)は同じですが、そこに至るアプローチがまったく異なります。
かと言ってタブカラーがアメリカンか?と聞かれたら答えはNOです。
ハリウッド版『GODZILLA』は、ちょっとニュアンスが違うけど、ゴジラもGODZILLAもゴジラ…
日本人の中で賛否があるだけで、はた目には同じです。

当然タブカラーも英国人の中では賛否があったと予想されますが、私個人的には英国トラディショナルな襟型と捉えています。
それでは最後に、ピンホールカラーとタブカラーの違いを表にまとめてみましょう。

今後の着こなしの参考になれば幸いです。
