夏が近づくにつれ、気分もファッションも清々しくなってきましたね。
ボーダーのシャツが活躍する季節です。
現在では、ほとんどの人が1度は着たことのあるド定番の柄【ボーダー】ですが、
そうなるまでには長く険しい道のりだったことはご存じでしょうか?
今回はその歴史をひも解いていきましょう。
と、その前に境界線という意味のボーダーという呼び方は日本だけのもので、
ホリゾンタルストライプが正しい呼称ですが、今回はボーダーと呼ばせていただきます。
※ 私の愛読書「迷走王ボーダー」 境界線を行く人たちの漫画
元々、中世ヨーロッパでは縞模様は悪魔の象徴とされていました。
旧約聖書に「2種で織った衣服を身に着けてはならない」と記されていたことが、
縞模様=悪魔という解釈につながったようです。
その結果、社会的に蔑視されていた 囚人、死刑執行人、売春婦、道化師などが、
着用を義務つけられていたそうです。
囚人服に関しては、20世紀頃まで使われていました。
脱走しても目立つので見つけやすいという実用性もあったようです。
※ 1885年頃のアメリカ・ユタ州の囚人
日本でも江戸時代に、庶民や下級武士(足軽)の服装としてボーダーは用いられていました。
そんなネガティブなイメージのボーダーが、
ポジティブなイメージに変わるきっかけになる歴史的出来事があります。
アメリカの独立とフランス革命です。
アメリカの星条旗やそのころは横縞だったフランスの三色旗は、
自由の象徴として人々に浸透していきました。
そして、1850年代からフランス海軍の制服として採用されはじめます。
ただし階級の低い水兵の制服です。
まだ昔のノリが拭いきれない過渡期なのでしょうか?
やっぱり見つけやすいという実用性からなのでしょうか?・・・
本格的にファッションとして採用されるきっかけとなったのは、
1889年の老舗フレンチカジュアルブランド、セントジェームスの創業です。
さらに、天下のファッションデザイナー、
ココ・シャネルがボーダーのロンT (バスクシャツ)にパンツを合わせて大きな話題になりました。
※ 当時27歳のココ・シャネルさん
その後、各界の超ビッグネームが、ボーダーをこよなく愛し、
ファッションアイテムとして不動の地位を築きます。
※ 稀代の天才画家 パブロ・ピカソ氏
※ ヒッチコック映画『軽蔑』の女優 ブリジット・バルドーさん
※ 20世紀最大の女性ポップスター マドンナさん
そして今やボーダーは、国籍や身分にとらわれることのない
誰もが楽しむボーダレスな柄になりました。