スマホ、電気自動車、ドローン・・・
様々なテクノロジーによって我々の生活は便利になり、古い道具や技法はどんどん消えてゆきます。
その一方、決して消えゆかないものも存在しますね。
例えば、農業においてトラクターが発明されても、クワはなくなりません。
少しだけ耕す場合は、クワの方がいいし、免許も要らずお手軽だからです。
ファッションにおいてもしかりです。
いよいよ暑い夏がやってきますが、日々進化し続ける機能冷感素材によって、より快適に過ごせます。
しかし、200年以上前から存在し、いまだに人々に愛され続ける夏素材をご存じでしょうか?
シアサッカーです。
このような凹凸のある生地を見たことがある方も多いかと思います。
18世紀には熱帯地のインドで織られていた生地で、
語源はペルシャ語の「ミルクと砂糖」を意味する「シーロシャカー」。
ミルクのように滑らかな部分と砂糖のようにザラザラした部分の繰り返しという意味合いです。
生地に凹凸があることで直接肌に触れる面積が少ないので、
通気性が良く、汗をかいても生地がベタベタ貼りつきません。
洗濯後もアイロンをかけることなく着られる元祖イージーケア生地ですね。
※ 1930年代の南部アメリカが舞台の映画『アラバマ物語』のグレゴリー・ペック氏
1900年代初頭、当時インドはイギリスの植民地でしたから、
イギリスに渡り 多くの人に受け入れられました。
さらに、アメリカに渡り ブルックスブラザーズなどのブランドによって大流行しました。
いわゆる狂騒の時代と呼ばれる1920年代に、夜ごと開かれるパーティー。
当時のドレスコードは、夏でも原則ジャケット着用ですから、流行するのは当然と言えます。
※映画『華麗なるギャツビー』(1974年)
アメリカ南部の上院議員の間でも愛用され、
現在でも「Seersucker Thursday(シアサッカーの木曜日)」という
年に一度シアサッカーで作られた服を着るアメリカ議会の伝統行事があるほどです。
※ Seersucker Thursdayでの集合写真
今では、ドレス・カジュアルを問わず、様々なアイテムに取り入れられ、愛され続けています。
テクノロジーとの共存、そしてイノベーション。
私は、便利なだけではなく豊かなライフスタイルを選択したいと思います。