まだまだ暑い日が続きますが、毎日作る麦茶の減りが遅くなり、
秋の訪れを感じる今日この頃、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
さて、お茶と言えば 千利休。
千利休のこんな歌をご存知でしょうか?
『規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても 本を忘るな』
「教えを守り続けながらも、いつしかそれを打破り離れていく事も大切であるが、
そこにある基本精神は忘れてはならない」 と述べたものです。
いわゆる【守・破・離(しゅはり)】の語源となった歌です。
守・破・離とは、あらゆる道を極めようとするときの段階を表した言葉です。
「守」・・・基本の型を身につけそれを守る段階
「破」・・・基本を守った上で、自分にあった型にアレンジする段階
「離」・・・自分のオリジナルな型を確立する段階
この言葉は、別に茶道や武道でなくても、ビジネスや学問やアート、
すべての事に通ずる考え方だと思います。
もはや伝説の芸人、志村けんさんもこうおっしゃていました。
『 非常識なことをするためには、まず常識を知らなきゃいけないんだよ。』
メンズファッションもしかりです。
ただし、メンズファッションは少し特殊な【守・破・離】だと思います。
円グラフにするとこんな感じ。
「守」にかかる比重が、他のことよりも圧倒的に高いのです。
一見 「破」かなと思うことが実は 「守」だったりもします。
例えば、有名なところではスーツのボタン。
下のボタンを留めないのが 「守」で、留めるのが 「破」です。
ケネディ大統領は、あえてスーツの下のボタンを留めている上級者です。
これも 「守」を知らない人がやると、少し恥ずかしいファッションになってしまいます。
それではここで問題です!
下の写真の男性のファッションのなかで「破」なのは、どの部分でしょうか?
答えは3通りあります。
1.本来とめるべきボタンダウンカラーのボタンが外れている部分が「破」
2.そもそもボタンダウンシャツはスポーツシャツなのでスーツに合わせること自体「破」
3.この程度のハズシは王道のハズシであって、
トラッドの範疇を出ていないし、この人が初めてやった訳でもないので全て「守」
というように、段階の線引きも非常に難しいのです。
未だに答えが出ていないこともあると思います。
例えば、トラウザーズ(パンツ)のポケットに手を突っ込む行為。
英国紳士は、それを嫌い、やらないと聞いたことがあります。
洋服の形が崩れるし、失礼にあたるからだそうです。
もしポケットに手を突っ込むのなら、上着のポケットの方が紳士的だとか・・・。
※ 元イギリス国王エドワード7世
ただし、そう言った舌の根も乾かぬうちにこういう写真もでてきてしまいます。
※ 同じくエドワード7世
このように、メンズファッションにおいて「守」を完璧にクリアし、
「破」の段階に進むのは非常に難しいことだと思います。
果たして死ぬまでに「守」をクリアできるかどうか・・・
だからこそ、面白いんですけどね。
とりあえず「離」に関しては、トップデザイナーさんにまかせておいた方が良さそうです。