A「今年はピンク色が流行ってるからコーデに取り入れてみたよ。」
B「さすが、Aはファッション感度が高いなぁ~」
こんな会話をたまに耳にします。
つまり流行色をいち早く取り入れていればセンスが良く、遅いとダサい・・・。
しかしそれは真理ではありません。
なぜなら、流行色は知ろうと思えば数年前から調べることができます。
ファッション業界における流行色は、実は2年も前から事前に決められているものなのです。
はぁ~!?じゃあ、どこぞのファッションの神様きどりの奴がお告げになられた流行色に
我々は踊らされていたってのかっ!?
神様きどりかどうかは別として、その問いに答えるなら、
半分は正解で、半分は不正解です。
まず、正解の方から。
世界の流行色はインターカラー(国際流行色委員会)が決めています。
日本もその加盟国で、インターカラーの下に日本流行色協会が存在します。
では、何のために存在するのかと言うと、トレンドを作るためです。
つまり何もしなければ、トレンドが生まれない可能性が高いから、
一定のペースで流行色を変えることで、戦略的にトレンドを生んでいるのです。
服は着ようと思えば、何十年でも着れてしまいます。
でもそれじゃあファッション業界は商売上がったりなので、『流行り』と『すたり』を意図的に作り、服を買ってもらう訳ですね。
そういう意味では、踊らされているという見方もできるかもしれません。
次に、不正解の方です。
2年も前から流行色を決めているのは、別に一部の人間が甘い汁を吸うためではなく、
われわれ消費者に安価な商品を提供するためです。
もし、急にピンク色がトレンドになったら、瞬く間に売り場からピンク色のアイテムが消えるでしょう。
そして、ピンク色アイテムの価格が高騰するばかりではなく、
店側としては他の色が売れなくなるので、衣料ロスも生まれます。
それを防ぐために、2年前から流行色を決めておき、
大きなロットで生地などを用意し、安い単価で大量生産するのです。
ウィンザーノットとしても、新しいドレスシャツを企画する際に
流行色は参考にさせていただいております。
だからこそ、既製服にもかかわらず、攻めたものづくりを実現しています。
俺はトラッドだから、流行は追わない!とおっしゃる方もいるかもしれませんが、
トラッドと流行は相反するものではありません。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、
『今』を無視しないことが、トラディショナルの基本的な考え方なのです。
ちなみに、2023年の流行色は“ビバマゼンタ”と“ルミナスイエロー”だそうですよ。