黄砂が降るのは嫌ですが、気候はおだやかで過ごしやすい季節になりました。
気分も上がり、装いもパステル系やマドラスチェックのシャツなんかもそろそろ着たいですね。
マドラスチェックは、アイビーファションなどによく使われます。
みなさんは、インディアマドラスという言葉を聞いたことがありますか?
直訳するとインドのマドラスですが、
インドにある現在のチェンナイとゆう場所がマドラスという地名だったそうで、
そこに住む船乗りの頭に巻かれた布が格子柄であったため、
それが元でその生地をインディアマドラスと呼ぶようになったようです。
そして現在でもマドラスチェックは、インド産のものが良質とされています。
生地と言えば、イタリアかイギリスなどが有名な産地ですが、マドラスチェックはなぜインドなのでしょう?
その答えには、筆舌に尽くしがたい過酷な歴史背景がありました。
けっこう過酷なので、かいつまんでポップにお伝えします。
まず、17世紀初頭に設立されたインドを拠点とした貿易会社、イギリス東インド会社の存在がキーになっています。
様々な貿易商材がある中で、
香辛料や塩やお茶などをオランダなどの他国に押さえられたイギリス東インド会社は、
インドの綿織物に目をつけます。
その綿織物は、職人の手仕事ながら極細の糸からなる最高級の生地で、
ヨーロッパの上流階級にバカ受けの大成功でした。
しかし、18世紀に入り英国での産業革命が進むと、なんでも工場でオートメーション化する時代になったので、
イギリスはインドから綿を輸入し、自国で綿織物を工場生産する方向にシフトしました。
ただし、クオリティが落ち、売れなくなるという問題が発生します。
工場で作った生地よりもインドの職人の手仕事の方がきめ細やかで良質なんですね。
それが面白くないイギリスは、インドの職人の腕を切断するという愚かな選択をします。
ここがどうしてもポップには話せませんが・・・。
そしてインドの綿産業は一気に衰退します。
後にインド独立の父ガンジーが、抵抗運動の象徴として使った糸車は、
この悲劇を胸に刻むための物だったそうです。
しかし、インドの綿産業が完全になくなった訳ではなく、
「きめ細かい生地がダメなら、地元で使ってる粗い生地を売ってみる?」
「案外ナチュラルで素朴な感じがウケるかもよ?」
といって貿易商に売り込み、大ヒットしたのが、インディアマドラスという訳です。
軽やかでカラフルでエキゾチックなマドラスチェックにこんな下積み時代があったとは!
これからは、私もこの歴史を胸に刻んで・・・
いやいや、一回忘れて軽やかに爽やかにマドラスチェックを楽しみたいと思います。