数年前から若者の間で「盛れてる」という言葉が流行ってるそうです。
プリクラやスマホの自撮りなどで、
画像加工により実物よりも美しく見せることに成功している場合に使う言葉だとか。
つまり、目を大きくする効果や肌を白くする効果などを盛って(足して)美しくなっているよねって事です。
一方、メンズドレスクロージングの世界では、引き算をして美しくすることの方が圧倒的に多いです。
前回のブログ『クイズ!どっちがフォーマル!?』でも、
装飾が無い方がフォーマルでドレッシーであるということをお伝えしました。
復習をしたい方はこちらをどうぞ↓
盛れば盛るほどフォーマル感は無くなっていく訳です。
しかし、今回は数少ないその例外についてお話したいと思います。
前回のブログでも触れましたが、タキシードなどを着るときに使用するウィングカラーシャツ。
これに関しては、ピンタック(胸のヒダヒダ)があるウィングカラーシャツの方が無いものよりフォーマルでドレッシーです。
その理由は、歴史的な背景によるものです。
元はと言えば、ドレスシャツは下着でした。
もちろん、下着姿で人前に立つことは、恥ずかしいし 失礼ですよね。
でも、タキシードなどを着たときに どうしても胸のところはドレスシャツが見えてしまう・・・。
そこで、ピンタックという装飾を 別布で付けることで、
ドレスシャツの見えている部分は、下着ではない別物で むしろ華やかな飾りであることをアピールしたのでした。
その名残りで、今でもピンタックのついたウィングカラーの方が、フォーマルでドレッシーとされています。
メンズドレスクロージングの世界の数少ない「盛れてる」例ですね。
スタッズボタン(飾りボタン)に関しても、まったく同じ理由で装着しているほう方がフォーマルでドレッシーです。
下着のボタンじゃなくてアクセサリーが付いてるんだから、下着なわけないでしょ!のダメ押しです。
あともう一つの例外は、ストレートチップのドレスシューズ。
ドレスシューズのつま先のデザインはストレートチップがもっともフォーマルです。
なぜ別革を使ってつま先をくるみ装飾したストレートチップが、つま先に何もないプレーントゥよりフォーマルなのか?
この理由には諸説ありますが、これも歴史的な背景によるものです。
まだ靴を作る技術が未熟だった時代、靴のアッパーを1枚の革で美しいプレーントゥに仕上げるのが難しく、
ストレートチップ仕様にした方が美しかったからという説があります。
ですから、その当時は、本当にストレートチップのおかげで「盛れてた」って事ですね。
そういった背景があって、技術が進歩しプレーントゥでも美しくつま先を成形することができるようになった今でも、
ストレートチップがもっともフォーマルどだという訳です。
いかがでしたでしょうか?
メンズドレスクロージングは、若者のファッションようにノリや勢いは無いし、
何かと面倒くさいなぁ~と思われるかもしれませんが、だからこそ奥が深く面白いと個人的には思います。
私もノリや勢いで、30万円のストレートチップのドレスシューズを買ったりしますし。
あ、スイマセン、話だいぶ盛りました・・・。