「ネクタイをして頂こう、無ければお貸しする。」
映画『スティング』(1973)で、詐欺師役のポール・ニューマン氏に向けられた台詞です。
ポーカーをする際に紳士のゲームだからということで、
礼儀としてネクタイの着用を強要しているシーンですね。
まさに時代とお国柄を反映したシーンです。
今の日本なら、どこで誰が言ってもパワハラ扱いでしょう。
そして、ネクタイをテキトーに締めることで相手を挑発するポール・ニューマン。
あろうことか借りたネクタイで鼻水を拭ったりもします。
このように小道具の使い方ひとつで、いかにネクタイが礼儀の象徴だったかが分かります。
そしてもう一つ、映画『就職戦線異状なし』(1991)。
織田裕二さん演じる大学生が、就職活動をするお話です。
大手マスコミ会社の最終面接にまで残っていたが、
遺恨のあった人事部長からの嫌がらせでデタラメな日時を知らされており、
遅刻して到着する織田裕二さん。
あとは重役の皆さんが決める事だから自分の力で勝ち取ってみろと勝手なことを言う人事部長。
そして人事部長は、慌ててノーネクタイで来た織田裕二に対し、
自らのネクタイをほどいてドアノブにそっとかけるのです。
敵に塩を送ったわけですね。
このシーンから分かるように、当時はいくら優秀な人材でもネクタイをしていないと社会人としてお話にならないという時代でした。
これは余談ですが、人事部長役の本田博太郎さんですが、実は最近ビズリーチのCMに人事部長役で出演しています。
なんか粋なキャスティングですよね。
そして最近では、コロナも明け、大企業の入社式がニュースなどでとりあげられています。
その映像をみてビックリ!
ノーネクタイどころかワイシャツすら着ていない新入社員が!
てか金髪もOK!?
そして社長さんもノーネクタイでご挨拶・・・。
自主性の尊重・自由な社風もここまでいけば、「王様は裸だよ!」と誰かが叫び始めるかも知れません。
服装を自由にすれば、その分を埋め合わせる礼儀を言動や態度に求められます。
それはそれで大変だなぁ~と思う今日この頃です。
ちなみに、『就職戦線異状なし』が公開された1991年にクールビズはありませんでしたが、
元祖クールビズの羽田元総理大臣が、省エネスーツなるものを着ていました。
ただ袖をちょん切っただけじゃないか!と笑ったアナタ、
今のご自分のノーネクタイスタイルが、
ただネクタイを取っただけの格好になっていないかもう一度チェックしてみて下さい。
ノーネクタイ用のワンピースカラーシャツならバッチリですよ。