雨に濡れたあじさいが彩りを増す季節、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
と美しい冒頭のあいさつをしたいところですが、私は頭痛持ちなのであじさいどころではありません・・・。
そんな忌々しい雨ですが、メンズファッションにおいては様々な功績を残しております。
もちろん現代のゴアテックスなどの機能素材なんかもそれに当たりますが、
今回は、クラシックなメンズファッションに限ってご紹介いたします。
【ダブルの裾】
スラックスの裾上げには、シングルとダブルがありますが、元々はシングルしかありませんでした。
20世紀初頭、英国貴族がアメリカで行われる結婚式に向かう道中で突然の雨に見舞われ、
裾が濡れるのでスラックスを折り返しそのまま式に参加したところ、
それを見たアメリカ人がこれが英国流イケてるファッションなのか!
と勘違いをして定着したという説が有力です。
【ジャケットのフラップポケット】
ポケットのフラップは、屋外にいる時にポケットに雨やゴミが内部に入らないようにするために考案されたデティールです。
なので、フラップは屋外では出す、屋内では出さないが基本ですが、
出さない方がドレッシーなのでフォーマルな場面では出さない方が無難でしょう。
ビジネスではどちらでも問題ありません。
【アンブレラヨーク】
トレンチコートなどの肩から背中にかけて二重構造になった布部分のことです。
雨が当たる背中上部ヨークが若干すべり台のように斜めになっており下の部分は縫いつけていません。
その効果で背中から雨が流れ落ちやすくなっています。
ちなみにウエスタンシャツの背中上部の仕様もアンブレラヨークと呼ばれたりしますが、
これは落馬したときに肩を守るために付けられているそうです。
【ギャバジン・ゴム引き・オイルレザー】
生地など服装の素材に関しても、雨に対抗するための様々な工夫が施されてきました。
ギャバジンは、バーバリーのトレンチコートでお馴染みの、傾斜の強い綾織りのため表面に特徴的な斜めの模様が現れる布です。
1880年代に戦争をする兵士たちが雨に濡れないように開発されたものです。
ゴム引きは、マッキントッシュのレインコートでお馴染みの、2枚のコットン生地の間にゴムの溶液を塗って接着した防水布です。
産業革命期の労働者の強い味方になりました。
オイルレザーはなめしを施す際に、オイルを何度も繰り返し染み込ませているので、防水性はもちろん革の柔軟性と耐久性が増します。
歴史は古く、17世紀ごろに生まれ、現在ではあらゆる革製品にこの技術が使われています。
このようにメンズファッションの歴史の中には、雨という敵と戦ってきた戦果がたくさん残されています。
これもまた天の恵みでしょうか?
それにしても頭が痛い・・・